ふくろうのゲームレビュー

主にレトロゲーのレビューをします

テイルズオブゼスティリア(ps3)

テイルズオブゼスティリアをクリアして思うところがあったので、レビューという形で意見を述べることにしました。

本記事がこのゲームをプレイしようか迷っている方の一助となれば幸いです。

また、本記事は主として未プレイの方にこそ読んでいただきたいので、ストーリーの内容に関するネタバレは基本的に回避していますが、本記事の最後にネタバレを含む内容の評価を加えているので興味のある方のみ閲覧してください。

なお、筆者はテイルズシリーズ自体このゲームが初めてで、ネタバレ回避のため事前情報なしでこのゲームを遊びました。

評価(5段階)

総プレイ時間 60時間弱(難易度ハード、サブクエ含む)

ストーリー ☆

システム  ☆☆☆

作りこみ  ☆☆☆

BGM     ☆☆

難易度   設定による

総合    ☆☆

ストーリー

ザ王道RPG。大筋は、ひょんなことから勇者になって世界を救うために魔王を倒しに行くよくあるお話です。詳しい説明はゲームwikiに譲ります。

話が王道パターンで進んでいくので、ストーリーに関しては途中で飽きることなくクリアできました。

このゲームを遊んで最初に感じたことは、重いイベントが多い中で主人公たちは割とさっぱりしていて、話のわりにゲームの雰囲気が明るいということです。

重いイベントがあると、もちろん主人公たちも最初は悲しんだり落ち込んだりしているのですが、仲間の誰かが「しょうがないよ」みたいなフォローをして主人公たちが立ち直るといったシナリオがしばしばあります。

ゲームは楽しく遊びたいので、終始暗い雰囲気にならないように工夫がされていた点は良かったです。他方で、主人公たちがいささかあっさりしすぎではないかと感じる場面が多々あり、かなり違和感を感じました(この点は賛否両論あるところだと思います)。

ストーリーに関して最も指摘したいことは、このゲームに対する批判で散々指摘されているように設定矛盾や説明不足が激しい点です。

ネタバレになるので具体的な設定矛盾等の内容についての言及は避けますが(興味のある方は他のレビューを参照してください)、特別に意識しなくともはっきり気付くレベルの重大な設定矛盾等が多々あります。或いは、設定矛盾回避のためのこじつけ感満載の理由が説明されていたりもしますが、いずれにせよ「???」となる点が多いです。

全体的に面白いストーリーだっただけに、この点については少し(というかだいぶ)残念でした。

ヒロイン問題等ネタバレを含むレビューについては後述します。

システム

戦闘について

戦闘については、キャラごとに技や性能がはっきりと差別化されており、メンバーを入れ替えるたびに異なる戦い方ができる点がよかったです(世の中にはキャラが違うだけで性能がほぼ変わらず全然差別化が図れてないゲームもたくさんあるので)。

また、このゲームに対する批判として、神依化(このゲームの戦闘システムの売り。詳しくはゲームwiki参照)が強すぎてそれしか使わなくなり戦闘が単調であるという指摘もありますが、神依化をしない通常時には多段コンボによる大ダメージを狙える、敵の技によっては通常時の攻撃でキャンセルできる等のメリットがあり、その点も差別化が図れており必ずしも戦闘が単調とは言えないのかなと思います。ただ、神依化が強いのは間違いなく、プレイヤーによってはほぼ神依化で闘うことになるのかもしれません。

難易度にもよるかと思いますが、攻撃だけしていたのでは勝てず、きちんと防御や回避をしないといけないように設定されていた点も、戦闘のゲーム性を向上させる要素として高評価です。防御や回避行動自体に一定のインセンティブが与えられており、また敵の攻撃も強いものが多く、戦闘システムについてはきちんと考えられているという印象を受けました(シリーズ前作をやってないのでわかりませんが、もしかしたら前作から引継いだだけかもしれません)。ただ、この防御や回避を組み込むシステムが戦闘のテンポの良さを損なわせていることは事実であり、ここについては賛否両論分かれるところかと思います(私は気になりませんでした)。

装備について

装備については、このゲームでは融合システムやスキルシート、スキルの付与等の特徴があり、新しく手に入れた装備が必ずしも元の装備より強いとは限らない等通常のRPGとは一線を画しています。

しかし、その分装備システムが複雑であり、純粋な王道RPGに慣れ親しんだゲーマーからすると面倒に感じられるかもしれません(私がそうでした)。ただ、装備システムについて理解していなくても(最悪無視してひたすら新しく入手した武器を装備しても)クリアは充分可能であり、やりこみ要素的な側面が強いのかなと思いました。

その他

宿屋に泊まるたびに一定の効果を付与する料理を一緒に注文するという料理システムも斬新で面白かったです。

作りこみ

最大の魅力はフルボイス+ufortableのアニメがふんだんに使われているところでしょうか。普段キャラの声にピコピコ音が充てられているゲームばかりやっている私にとってはとても豪華に感じられました。最近のゲームに慣れ親しんだゲーマーにとっても満足できるレベルだろうと思います。いらないタイミングでアニメが挿入されており無駄であるといった旨の批判も見られましたが、個人的には特にそうは感じませんでした。

キャラの個性、パーティ内での役割が進行上でもはっきり差別化されており、それぞれの良さが上手く引き出された演出が随所でなされています。

サブクエストの数はそこまで多くはないです。ただそれぞれにそれなりのストーリーがあってサブクエまで遊ぶ価値は十分にあるなといった印象を受けました。

マップについても様々な意見があるとこですが、個人的にはマップ上にシンボルオブジェクトや宝箱、敵が適度に配置されていてバランスがいいと思いました。ただ、ダンジョン内は若干作りが単調な気がしないでもないです(そんなに気になるほどではないですが)。他方、ダンジョンの中にはキャラの特徴を生かして攻略するものもあり、ギミックも凝っていたので、この点は良かったです。

宿屋に泊まるたびにキャラの会話が聞けるのでよりこのゲームの世界観に入り込むことができました。しかもその全てがフルボイスなのでとても豪華です。また、この会話でストーリーの補足やキャラの心情変化等を知ることができ、キャラに愛着がわくよう工夫されています。

その他にも「ここ作りこまれてるなぁ」と感じるところが多々あり、総じて作りこみに関しては満足でした。

BGM

残念ながらBGMについては、他のゲームとの比較においてこれといったものはありませんでした。

ただ、他が微妙だっただけに一部ダンジョン内のBGMがとても良く感じられました。

まぁBGMについては好みがはっきり分かれるのであまりあてにしないでください。

難易度

難易度は5段階あり、内上位2つは初プレイ時には選択できない仕様になっています。私はハード(下から3番目の難易度)で遊びましたが、ボス戦だけでなく雑魚敵相手でも何度も全滅し、かなり手ごたえのある戦闘を楽しむことができました。

テイルズシリーズ常連さんや腕に自信のある歴戦のゲーマーでも高難易度を選択すれば十分楽しめますし、逆にストーリーメインで遊びたい人も手軽に遊べて、幅広い層のニーズに応えられるようになっている点が評価できます。

問題点

ストーリー上の設定矛盾、説明不足については上記参照。

よく批判されている点ですが、カメラワークがひどく、背後に壁や岩があると(ほぼ全ての戦闘シーンで壁や岩はある)敵の身体の一部がアップになる等ほぼ何も見えなくなります。ただ、慣れると何も見えなくても効果音等で敵の攻撃を予測したり、回避行動等で壁から離れて元のカメラワークに戻したりとプレイヤー自身が技を習得するので、最終的にはそんなに気にならなくなります。

味方AIがポンコツで、ボス戦中に味方キャラがいきなり謎の行動(具体的には神依化を解除)をし、敵の強攻撃をくらって死亡するという場面が多々あり、実力ではどうしようもない理不尽なゲームオーバーに見舞われることが度々あります。個人的にかなり重大な問題点でした。

戦闘中やや頻繁に若干処理落ちします。が、まぁそんなに気になるほどではありません(というかこの記事を読んでくださっている方の多くはたぶんレトロゲーマーなので処理落ちなんていつものことかもしれませんね)。

トロフィーの取得が面倒なものが多く、私は断念しました(このゲームを2週やる気力はなかった)。

総評

クソゲーと言われているから」という理由で始めたこのゲームでしたが(なぜクソゲーと言われているかは当時は知らなかった)、思ったよりもクソゲーではなかったというのが正直な感想で、炎上の理由となったヒロイン問題についても後述のようにこのゲームをクソゲーと評価するには弱いと感じました(2022年にレトロゲーとしてプレイしているので、発売当時の先輩プレイヤーたちとは熱量に差があることに注意してください)。

他方で、クソゲーとまでは評価できないまでも、目に付く問題点が多く、他人に自信をもっておすすめできるゲームかと聞かれると微妙です。

ストーリーが王道で面白く、感動できる場面もある一方、王道である以上の面白みがないのもまた事実であり、上述の問題点も相まって、他のRPG系のゲームと比較して相対的に完成度は低いものと言わざるを得ません。

もっとも、遊んだことを後悔するレベルではなく、むしろサブクエや会話イベントをほぼ回収するほどには楽しんで遊べましたし、途中で飽きるようなこともありませんでした。特にシステムや作り込みに関しては上述のとおり評価できる点も多く、一度遊んでみる価値はあると思います。

このゲームが気になっている方は(時間があれば)是非遊んでみてください。といったやんわりとしたおすすめをもって本記事の結びとしたいと思います。

 

ここまで稚拙な文章を読んでいただきましてありがとうございました。

本記事がこのゲームをプレイしようか迷っている方の一助となれば幸いです。

 

以下、ストーリーの内容に関する重大なネタバレを含むレビューを掲載しています。

興味のある方のみ閲覧してください(未プレイの方は閲覧非推奨です)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロイン問題について

声優に関する噂が事実であるかについては置いておいて、ヒロインの変更については恣意的なものではなく、少なくともヒロインに関してシナリオの大幅な変更はなかったのではないかと思われる(後述のようにシナリオ自体の途中変更はあったのではないかと疑われる)。また、仮に恣意的な変更があったとしても、この変更後のストーリーでよかったのではないだろうか。もし、アリーシャが離脱せず従士であり続けた場合、姫ではなく従士としてスレイと楽しい冒険を続けることになり、「不憫だが健気に頑張る姫」というキャラクターが薄まり、中途半端なものになってしまう。また、一般人であるセルゲイの活動との対比の点から見ても、アリーシャが導師の旅とは関係なく、自国のことに専念するただの姫でなければバランスが悪い。やはり、大臣から虐められ、導師の旅についていけず、師匠も敵という不憫が積み重なるが、最後には隣国との戦争を止め和平の立役者となり報われるという本シナリオの方が自然であり、ヒロイン変更はなかったとする説の方に分があると考える。なお、突然離脱して不自然であるという批判があるが、離脱自体は離脱理由にも違和感なく自然に離脱したと感じた(もっとも、ロゼの加入については違和感ありまくりであり、もう少し上手い離脱理由があってもよかったのではと思う)。また、発売前の宣伝の件については、真のヒロインについてサプライズ要素としたという説明に理由がないわけではない(そのような宣伝方法が社会的に許されるかは別として)。各地の武器屋でアリーシャの装備が売られているため、制作初期段階ではアリーシャが離脱しなかったのではという考えもあるが、終盤で再度一時的にアリーシャが加入した際に(この点、ネット上にはアリーシャが二度とパーティに戻らないと誤解する意見もある)アリーシャの装備を持っていれば融合できるため、この融合のために売られているのだと考えれば一応の説明が付く(もっとも、アリーシャ再加入から再離脱までの間にセーブポイント間移動はできず、融合するためには再加入に備えて(帰ってくるかもわからない)アリーシャの装備を事前に購入していなければならないため、この説明にはかなり無理があることを自覚している)。あと、個人的に再加入と再度の別れの流れが激熱だったので(この点も賛否両論あるが)、本シナリオに満足している。

 

時代設定について

終盤にスレイの誕生と災禍の時代の始まりが同時であり、おそらく現在から十数年前とつい最近の出来事であることが明らかにされたが、ストーリー上天異見聞録やライラの誓約、皆のいやな思い出もかなり古い物であるかのような説明がされており(これらもつい最近の出来事ということになる)、ミスリーディングと評価できる域を超えている。後述のストーリーのラストの問題も相まって、何らかの理由で途中でシナリオの変更がなされたのは事実ではないかと疑われる。

もっとも、推察の域は出ない。

 

ラストについて

個人的にはヒロイン問題よりも、ストーリーのラストの方がはるかに問題なのではないかと思う。スレイはエドナ兄を救う方法を探すと言ってエドナを勧誘したし、ヘルダルフを救う方法を探すと言って冒険を進めていたはずである。終盤になって、枢機卿を殺したのを皮切りに、もはや憑魔を救う方法を探すことを止め、エドナ兄もヘルダルフも殺してラストを向かえているが、一体何のための旅だったのだろうか。これではまるで、理想を抱いていた主人公が現実を知り、諦めを覚えた物語であり、このゲームのラストは実質的にはバットエンドである。もちろん、そういったストーリーもそれはそれで面白いのかもしれないが、おそらくそんな意図でこのゲームのストーリーを構築したわけではないだろう。ストーリー上主人公たちは「覚悟」という聞こえのよい言葉を多用していたが、物語が進むにつれて「覚悟」の意味も変わっていき、本当にそんな覚悟でいいのかという違和感は進行中ずっと感じていたところであり、ストーリーについて最低評価をつけた所以でもある。このラストの展開には賛否両論あるところであろうが、私は非常に残念に感じた。

 

上記の見解については、様々な意見や批評があるところと予想されますので、自由に引用、論評していただければと思います。

以上、ここまで本記事を読んでいただきまして本当にありがとうございました。