ふくろうのゲームレビュー

主にレトロゲーのレビューをします

FF5(SFCーピクリマ) レビュー

評価(5段階)

ストーリー ☆☆☆☆☆
システム  ☆☆☆☆
作りこみ  ☆☆☆
サウンド  ☆☆☆☆☆
難易度   ☆☆
総合    ☆☆☆☆☆

 

良かった点

ジョブとアビリティの組み合わせによる抜群の自由度と組み合わせを考える楽しさ

本作では、FFシリーズではお馴染みのジョブシステムに「アビリティ」という要素が追加され、複数の特殊技や性能を組み合わせて、各キャラのパーティにおける役割や戦術を自由にカスタマイズしながら冒険を進めていきます。

有名な「魔法剣二刀流乱れ打ち」のように威力が高い組み合わせを模索するもよし、本来HPが低い魔法使いのHPを底上げするアビリティを付けて安定性を確保する組み合わせを採用するもよし、といった具合に、プレイヤーのオリジナリティを大いに発揮してパーティの構築を楽しむことができます。

そして、忍術ばかり使う召喚士(召喚士+アビリティ「なげる」)など意外な組み合わせが実は強かったりと、想像以上にカスタマイズの奥が深く、いろいろと組み合わせを試してみたいと思えるような絶妙な調整がなされていることも特長です。

加えて、好きな技をほぼ制約なしで各キャラに詰め込むことができるFF7と異なり*1、今作では原則として各キャラごとにアビリティを1つしかセットできないという制約があることにより、アビリティ選びについてよりシビアになる必要があり、その分どのアビリティを採用すべきかを考える、試行錯誤する楽しみが大きくなっています*2

召喚獣を呼べる吟遊詩人など組み合せは自由自在

 

ユニークなボス戦が多い

キャラの性能やパーティの戦術を自由にカスタマイズできる本作ならではの特長として、攻略方法が非常にユニークなボス戦が多いことが挙げられます。

パーティメンバーの役割が固定されているRPGでは実現が困難な、魔法攻撃しか効かないボスや全体攻撃できるキャラが必要なボス等、キャラのカスタマイズとパーティ編成に工夫が必要なギミックを持つボスが、他の作品と比較して多く登場します。

ジョブ・アビリティシステムの面白さを活かす仕様であり、プレイヤーに、ジョブとアビリティの組み合わせを試行錯誤する機会を提供し、ゲームのやりごたえを高めることに大きく貢献しています。

一見すると敵が4体並んでいるだけのように見えるが…

その他、ダンジョン内のパズル要素やギミック、隠し要素がかなり充実しており、戦闘以外の点でもやりごたえのあるゲーム内容となっています。

 

気になった点

ぶっ壊れ技が複数あることにより戦闘が大味になりがちか

本作のゲームバランス、とりわけ戦闘バランスは、同シリーズの他作品と比較してもかなりうまく調整されていると感じました。

他方で、いわゆる、ぶっ壊れ技(ゲームバランスを崩壊させるような強力な技)も複数存在し、ジョブとアビリティの組み合わせ次第でぶっ壊れ技を使用できるようになります。

上述のとおり、本作は、強力なジョブとアビリティの組み合わせを模索することを楽しむゲームであり、プレイヤーがいろいろ組み合わせを試したことに対する報酬として強力な技を使用できるようにすることはゲームデザインとして理にかなっています。

が、それがぶっ壊れ技と呼べる程度のものであることから、強い技をぶっ放しているだけで敵を瞬殺できるようになっており、攻略が進んだゲーム後半あたりになると戦闘が大味になってしまったという印象を受けました。

当然ながら、自分で縛りプレイをすれば戦闘の大味化はある程度回避できるでしょう。

 

総評

本作は、攻略の自由度が高い作品が多いFFシリーズの中でも、戦略性の観点では屈指の自由度を誇る作品であり、「自分だけのオリジナルの冒険」を楽しむことができます。

また、本記事では、本作のシステム面に焦点を絞って論評していますが、ストーリーの展開も胸アツで、サウンドについても有名なビッグブリッジの死闘をはじめとする名曲ぞろいであり、システム以外の点でも非常に評価できる作品です。

気になった方は是非遊んでみてください!

 

ここまで本記事を読んでいただきましてありがとうございました。

本記事がこれからこのゲームを遊ぼうか迷っている方の一助となれば幸いです。

 

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*1:FF7ではマテリアが登場し、アビリティと同じような機能を果たしていますが、こちらは技の内容がより細分化され、基本的に各キャラに複数のマテリアをセットできることから、技の組み合わせパターンがFF5よりはるかに多く、カスタマイズの自由度の比較においてはFF7に軍配が上がると考えます。

*2:ジョブやアビリティの変更について、FF3のジョブポイント制のような制約がなく、プレイヤーの好きなタイミングでジョブやアビリティを変更できる設計であることも、プレイヤーが積極的に様々なカスタマイズを試すことを促進する仕様として有効に機能しています。

コマンドRPGにおける戦闘のマンネリ化を防止する手法ついての検討

 

1 はじめに

コマンドRPGの発展は、プレイヤーの「飽き」をいかに克服するかというゲーム制作者の苦悩と共にある。DQやFFといった有名タイトルを始めとして多くのコマンドRPGが発売されてきたが、プレイ中の飽き、とりわけ戦闘のマンネリ化の問題は度々指摘されるところである。
ゲーム開始直後は楽しみながら丁寧に行なっていた戦闘も、数十回と繰り返すうちに徐々に億劫になっていき、攻撃コマンドを連打する指が速くなっていく…*1。このような経験をしたことがあるプレイヤーは多いだろう。
マンネリ化した戦闘はただただ退屈で面倒な作業と化す。それゆえ、あらゆるタイトルにおいて戦闘を面白くする工夫、マンネリ化を防止する手法が取り入れられている。しかし残念なことに、そうした手法の全てが効を奏しているとは言い難いことは種々のゲームレビューより明らかである*2
本稿では、そのようなこれまでに取られてきたマンネリ化防止手法に対する評価検討を通じて、いかなる手法が戦闘のマンネリ化防止に対して有効であるかを考察する。

 

2 戦闘のマンネリ化の原因

マンネリ化の問題はあらゆるゲームにおいて常に付いて回るが、ことコマンドRPGにおいてはこの問題が顕著に現われる。すなわち、一般にコマンドRPGにおいてはゲーム進行が静的で、プレイヤーの行動も提示されたコマンドを選択することのみであり、しかもゲーム全体を通じて何度も同一形式の行動を繰り返すことになる。そのため、動的でプレイヤーの行動選択の幅が広いアクション系ゲーム等と比較して単調になりやすく、戦闘回数を重ねるにつれ戦闘がマンネリ化することは程度の差こそあれ不可避的である。
戦闘のマンネリに関わる要素を特定しようとすると、論者によって様々な捉え方が可能であろうが、本稿ではプレイヤーに与えられる刺激の有無、増減に着目し、これを検討の視座とする。戦闘の難易度が高く常に緊張感が感じられる場合には強い刺激が維持されることになり、戦闘に新たな要素が追加された場合にはその都度刺激が追加される。反対に、全ての戦闘がスライムをひのきのぼうで攻撃するだけのものであった場合、そもそもの刺激が弱い上、新たな刺激が何ら追加されないため、戦闘を経る度に刺激は低下していく一方である。そして、ある一定の程度まで刺激がなくなったとき、マンネリ状態となる(そのようなものとして捉える)。

 

3 具体的な手法についての検討

以下では、コマンドRPGにおける戦闘のマンネリ化防止に一定の効果を発揮すると考えられる手法を挙げ、評価検討を加える。ここで取り上げる手法は、本来必ずしも戦闘のマンネリ化防止に主眼を置いたものではなく、全く異なる意図でゲームに盛り込まれたものもあるだろう*3。しかし、本稿は戦闘のマンネリ化防止に有効な手法を検討する試論であることから、本稿ではその手法の本来的意図を捨象して、広く検討対象とすることとする。

 

3-1 設定の工夫

3-1―1 相性

プレイアブルキャラと敵キャラに強みや弱点を設定し、相性を生じさせることで戦闘における戦術性を演出する手法が多くのコマンドRPGで見られる。火水草のような三角関係や物理と魔法の二項対立等様々なものが見られるが、いずれもひたすら「こうげき」コマンドを選択していれば戦闘に勝利できるといった単調な戦闘となることを回避し、戦闘の度にプレイヤーが敵キャラに合わせて選択すべきコマンドを考えることができる点でプレイヤーに刺激を与え、戦闘のマンネリ化防止に効果があるといえる。
しかし、このようなプレイアブルキャラと敵キャラの相性の設定には限界がある。例えば、火水草のようなタイプが数種類であれば遊びやすいが、それが数十種類ある場合、プレイヤーとしては攻略のために考えなければならないことが多くなり、マンネリ化はしづらくなるだろうが、反面、遊びづらさを感じる原因となる。そして、相性の設定として三角関係程度のものが限界かつ最適であるとすると(現に三角関係の相性を設定しているタイトルは多い)、数回の戦闘でプレイヤーはコマンド選択において相性についてほとんど考える、悩むことがなくなり、機械的・半自動的にコマンドを選択することとなり、プレイヤーの飽きに対する障壁としては早期に機能を失うこととなる。したがって、この手法のマンネリ化防止に対する効果は一般にそれほど高いものとはいえない。

 

3-1-2 制約

コマンドRPGに限らずおよそほぼ全てのゲームにはルール上に一定の制約があるが、その制約をシビアにすればするほどマンネリ化はしづらくなることが一般にいえるだろう。コマンドRPGにおいては、HPや所持金、ターン制であれば行動回数等が制約として設定されるが、ゲームが進むにつれてこの制約が緩やかになっていくタイトルが多い。DQにおける回復を例にとると、序盤にはHPやMP、所持金に余裕がないため、回復やアイテム使用のタイミングを見極める必要があり、これを誤ると容易に全滅を免れ得ない。これに対して、中盤以降ではプレイアブルキャラのHPが敵キャラの攻撃を基準に余裕ができる上、僧侶役の地位が確立し、豊富なMPで何度も回復できるため、全滅リスクは大幅に低下し、HPやMP管理についてもほとんど意識しなくてよいことになる。ここで、制約の緩和により、プレイヤーの戦闘に対する緊張感は大幅に低下することが認められる。緊張感の低下はプレイヤーに提供される刺激の低下を意味し、戦闘への慣れ、そして退屈感へと繋がり、マンネリをもたらす。したがって、戦闘のマンネリ化防止のためには制約を一定程度シビアにし、戦闘の緊張感を維持することが望ましいといえる。ロマンシングサガシリーズのLPシステムはこのような制約の設定として優れており、プレイアブルキャラの復活可能回数を制約し、そのキャラが文字通りゲームから除外されるリスクをプレイヤーに与えることで、ゲームの進行段階に関わらず戦闘に緊張感を持たせることに成功している*4
ただし、主軸に置かれたゲームデザインとの関係で、制約をシビアにすることを実現し得ない場合もあり得よう。例えば、ジョブシステムやロール設定の自由度の高さを特徴としたいくつかのタイトルでは、ある程度制約を緩和し、HPに余裕を持たせる等の対処をしなければ、回復専門職をパーティーに入れることが事実上強制されるといったことになり、ロール設定の自由度が限定され、そのゲームが持つ特徴、売りを一部損なうことになる*5。そのような場合にまでマンネリ化の防止を優先するべきかは疑問である。

 

3-1-3 アクション

コマンドRPGの基本形は、コマンドの選択によって直ちにそのキャラの行動が確定するというものであるが、コマンドを選択しただけではキャラの行動が確定しないシステムもしばしば見られる。アンダーテールでは、攻撃コマンドを選択した後、流れるバーをタイミング良く目押しで止めるというアクションを経て、攻撃の成否や威力が決定される*6。また、FF6のマッシュは格闘ゲームのようなコマンドを入力することで必殺技を使うことができる。このようなコマンド選択にプラスしてアクションの要素を入れる手法は、戦闘の度にプレイヤーをアクティブな状態にし、また、キャラの行動が必ずしも成功しないというリスクと緊張をプレイヤーに与え、プレイヤーに大きな刺激を提供する。
もっとも、アクションの内容や難易度によっては、戦闘のマンネリ化に対してさほど歯止めがかからず、かえってマンネリ化を加速させることも考えられる。
上述したFF6のマッシュの必殺技を例にとると、アクションの難易度を低く設定し、全ての技について技の発生に必要な格ゲーコマンドの長さを短くすると、プレイヤーが格ゲーコマンドを入力することに慣れやすく、必殺技を容易に出すことが可能となり、プレイヤーが受け取る刺激は早期に失われる。そして、コマンドの選択によって直ちにそのキャラの行動が確定する基本形と比較して技の発生に手間がかかる分、プレイヤーとしては簡単かつ確実に入力できる格ゲーコマンドを戦闘の度に入力しなければならないことが面倒に感じられ、マンネリを感じやすくなりかねない。
これに対して、アクションの難易度を高くして難しいコマンド入力を要求すると、プレイヤーがそのコマンドを完璧に入力できるようになるまでプレイヤーにとって新たな刺激であり続けるため、マンネリ化はしづらくなる。しかし同時に、プレイヤーにとってコマンド入力に失敗し続けることは一定のストレスとなり、不快感をもたらすおそれがあり、マンネリとは別の要因でゲームを放棄されかねない。
コマンド選択においてアクション要素を組み込むことは戦闘のマンネリ化防止に大きく貢献し得るが、その調整次第で毒にも薬にもなると考えられる。

 

3-2 要素の追加

3-2-1 新しい要素

ゲーム中の武器や魔法、パーティーメンバーの追加はコマンドRPGの醍醐味であり、一般に、戦闘において新たな刺激となる。しかし、ゲームの進行に応じて定期的に何らかの新要素を追加すれば、そのことから直ちに戦闘のマンネリ化を防止できるというわけではないことは経験則上明らかである。追加される新要素の内容や追加の方法によってはマンネリ化防止手法として上手く機能しないこともある。DQにおけるブーメランのように、単体攻撃しかできなかった状態から範囲攻撃を可能とする、攻撃範囲に変更をもたらす要素であればプレイヤーにとって強い刺激となる。これに対して、ひのきのぼうから攻撃力が上がるだけの石の剣が追加されただけでは刺激としては弱いだろう*7。また、FFシリーズではバフ・デバフ魔法が多数追加され、その度に新たな魔法を活用した戦闘を展開することが可能となるため、形式的には新たな刺激がプレイヤーに与えられることになる。ところが、実際には、そうした魔法を逐一使用するよりも普通に攻撃した方が簡単かつ確実に敵を倒すことができるため、一部の魔法はほとんど、或いは一度も使用されることがないままエンディングを迎えることが多い。この時、これらの新たな魔法の追加は、プレイヤーにとって事実上新たな刺激となり得ていない。
戦闘のマンネリ化防止という観点からは、刺激の強い新要素を定期的に追加するべきであるといえる。

 

3-2-2 他ジャンルのゲームの挿入

DQやFF等、主にビッグタイトルと呼ばれるゲームにおいて、コマンドRPGとは別の他ジャンルのゲームが挿入されることがある。DQであればカジノであり、FFであれば9のカードゲームがその例である。上述した新要素の追加が、戦闘においてプレイヤーに直接的に新たな刺激をもたらすのに対して、他ジャンルのゲームの挿入という手法は戦闘の連続性を遮断し、繰り返される戦闘によって低下した刺激の程度を一定程度リセットする効果があると考えられる。より具体的には、戦闘を何度も繰り返すことにより戦闘からプレイヤーが受け取る刺激は低下する一方であるが、他ジャンルのゲームを挟むことでその流れをせき止め、冒険を再開し再度戦闘を行う際には戦闘により得られる刺激の程度が復活する。平たく言えば気分転換である。
他ジャンルのゲームの挿入は寄り道という形でゲームに現れることが多いが、この寄り道にかける時間が長ければ長いほど、上述したリセットの効果、度合も大きいものとなると考えられる。しかし、寄り道をどの程度行うかは専らプレイヤーに委ねられているものが多く、その効果もある程度各プレイヤー依存とならざるを得ない*8

 

3-3 戦闘の回避

3-3-1 エンカウントの抑制

既に本稿では何度も述べている通り、戦闘のマンネリ化は戦闘を何度も繰り返すことにより生じる。そこで、エンカウント率を抑え、そもそも戦闘回数を少なくすることでマンネリ化を防止するという手法も有効であろう。ファミコンやスーファミのソフトであれば、限られた容量の中でプレイヤーが長時間遊ぶことができるようにエンカウント率を非常に高く設定していたという事情があるが、制作コストはかかるがマップやイベントを豊かにすることで長時間遊ぶことができるゲームを制作することができる今日においては、敢えてエンカウント率を高く設定すべき理由はない。
敵とのエンカウントを低下させる手法としては、ゲーム全体を通じてエンカウント率を低下させることが最もオーソドックスな手法であるが、よりきめ細やかな対応をしようとするのであれば、例えばゲームが一定程度進行した後は序盤の街付近では敵とエンカウントしなくなるといったシステムを取り入れることが考えられる。DQにおける「忍び足」のような、エンカウント率を低下させる技を中盤以降に習得できるようにし、その使用タイミングをプレイヤーに委ねるという手法も面白い。
また、以上の検討はランダムエンカウント形式を前提とするが、シンボルエンカウント形式を用いれば、エンカウントするか否かがある程度プレイヤーに委ねられていることから、エンカウントの抑制に繋がる。MOTHER2及び3では、シンボルエンカウント形式を採用しているが、パーティーのレベルよりも大幅に低いレベルの敵はフィールド上でパーティーから逃げるように移動するという仕様になっており、エンカウントを抑制する工夫として優れており、マンネリ化を防止効果として非常に強力である。

 

3-3-2 オート、ブースト機能

最近では、プレイヤーが操作しなくとも全自動で戦闘が進むオート機能や*9、敵とのエンカウント率を操作できるブースト機能が備わっているタイトルが多く、これらの機能によってプレイヤーは事実上戦闘を回避することが可能となり、そもそも戦闘を行わないためマンネリの問題も生じない。

 

3-3-3 ゲームボリュームの抑制

上述した2つの手法と同様の発想で、戦闘の機会を減らすことによりマンネリ化を防止しようとすると、ゲームボリュームそのものを薄くし、クリアまでに要する時間を短くすることが考えられる。ただし、ゲームのボリュームダウンを指向すると、制作者が本当に表現したいこと、盛り込みたいことを全て実現することが出来なくなるおそれがあり、ゲーム全体としての面白さが損なわれるという本末転倒な状態になりかねない。

 

4 おわりに

以上、コマンドRPGにおける戦闘のマンネリ化防止につき一定の効果があると考えられる手法について検討し、評価を加えたが、本稿で取り上げた手法がその全てというわけではない。戦闘によって得られる報酬の内容や種々のランダム性、戦闘の自由度等、戦闘のマンネリ化との関係で検討しがいのありそうな要素は枚挙にいとまがない。また、本稿で検討した手法は、実際のゲームでは複数が組み合わされて活用されることにも留意されたい。この点、個々の手法の一部を取り上げ、切り分けてその効果を検討した本稿はややフィクションであることは否定しがたいが、少なくともコマンドRPGにおける戦闘について、デザインの多様性や奥深さを示すことが出来たのではないだろうか。
最近では、龍が如く7、8や、FF7Rの戦闘システムが、コマンド制とアクション制を融合させ、コマンドRPGにおける戦闘の新たな在り方を示している。アクションRPGの人気は高まる一方だが、コマンドRPGとアクションRPGとではそれぞれ違った魅力があるはずであり、安易にコマンド制を放棄するのではなく、コマンドRPGにおける戦闘の可能性を模索するべきである。

*1:本稿における「戦闘」は、全て、いわゆるボス戦やイベント戦を除くエンカウントによる通常戦闘を指す。

*2:ゲームレビューはレビュアーの主観的な評価を多分に含むため、通常何かを証明する資料としては適さないが、ここでは少なくとも一プレイヤーが「戦闘がマンネリ化した」と感じたという事実から、そのマンネリ化を防止する手法、すなわちプレイヤーに「戦闘がマンネリ化した」と感じさせない手法が上手く機能していないことを示すことができる。

*3:例えば、以下でFF6のマッシュのコマンド入力を取り上げているが、これが戦闘のマンネリ化防止を主眼に置いた要素であるといえるかは疑問であろう。

*4:他にも同シリーズでは、後述するシンボルエンカウントや戦闘回数に応じて敵の強さが変わる(=どれだけレベルが上がっても常にギリギリの戦いを楽しむことができる)システムを採用しており、戦闘のマンネリ化防止に対して非常に力が入れられている。

*5:DQのいくつかのタイトルではこのような事態が生じる(ことがある)。

*6:アンダーテールをコマンドRPGというジャンルに含めることができるかは微妙である。

*7:ここでは、石の剣の追加が戦闘のマンネリ化を防止する効果としては弱いことを指摘するのみであり、攻撃力が上がるだけの石の剣を追加することを批判する趣旨ではない。むしろ、石の剣の追加はゲームデザインとしては自然だろう。

*8:他ジャンルのゲームを大胆に挿入した例として、アクションRPGではあるが、龍が如く5が挙げられる。同ゲームはどちらかというと複数のジャンルのゲーム集という性格が強いが、戦闘パートと狩猟や音ゲー、野球パートとが明確に区分されており、戦闘のマンネリ化防止という観点から見ると非常に成功した例であると認められる。

*9:MOTHER等、ファミコン時代からオート機能を備えたソフトはあったが、その精度は低かった。

METAL GEAR SOLID 2(HD Edition/PS3) レビュー

METAL GEAR SOLID 2(HD Edition/PS3)のレビューです。

前作とシステムが大きく異なるものではないですが、後述する通常銃での主観モードの追加により主観モードを活かした攻略が可能となり、アクション性もより増しています。

今回は(せっかく筆者がトロコンまでプレイしたので)トロコンを目指す方に向けた情報も少しだけ載せたのでご参考までに。

本記事がこれからこのゲームを遊ぼうか迷っている方の一助となれば幸いです!

 

 

評価(5段階)

ストーリー ☆☆☆

システム  ☆☆☆☆

作りこみ  ☆☆☆

サウンド  ☆☆

難易度   設定による

総合    ☆☆☆☆

 

良かった点

主観モードによるアクション性の向上

主観モードによる狙撃

前作MGS1(PS)では、特定の武器を持ったときのみ一人称視点で攻撃(発砲)することが可能で、それ以外は第三者視点(見下ろし型)であるため、基本的に「狙う」「(画面内を)探す」といったアクションができませんでした。
通常の銃はオートエイムであり、敵への攻撃は敵の方向を向いてボタンを押すだけという単純なものです。
また、ボス戦を含めて敵が画面内に見えないが「いるであろう」方向に発砲する、監視カメラを1台壊すために主観モードにできるミサイルを撃ち込むなど、やや違和感があり不便に感じる仕様がところどころにありました。

他方で今作では、全ての銃及び素手で主観モードにすることができるため、狙って撃つというガンアクションの要素をより楽しむことができます。
ヘッドショットや金的の概念も追加され、中にはヘッドショットでなければダメージが入らない敵も登場し、アクション性が高まっています。
敵をヘッドショットで即死させられるなどの仕様も同時に追加されたことで、ステルスのみによる攻略だけでなく敵を殲滅しながら進む攻略もやりやすくなり、攻略の幅が広がったようにも感じます。

 

スニーキングだけじゃない多様なミッション

ほとんどスニーキングとボス戦のみで構成されていた前作と異なり、今作では本編中で写真撮影や爆弾探しと解除、スナイパー狙撃、水中迷路などの様々なミッションが用意されており、スニーキングのみならず複数のカテゴリーのゲームを体験できることが今作の最大の魅力であると思います。
前作のリモコンロケット操作ミッションも難易度を上げて再登場です。

 

その他、サブコンテンツとしておまけシナリオやミニゲームがかなり豊富であり、ミニゲームについては500以上もあるというとんでもないボリュームです。しかも、最後の方のミッションは恐ろしく難しいという。

かなりやりごたえがありますが、それらを全部クリアしないと取れないトロフィーがあるのでトロコンしたい勢としては複雑な気持ちだったり。

ネタ系のミッションも(ただし難易度は鬼)

 

気になった点

ムービーがかなり多い

「またムービーかい!」と感じてしまうレベルでムービー(メタルギアお馴染みの無線シーン含む)が多かったです。
確かに今作は前作と比較してストーリーの密度が濃く、しかもミームというやや哲学チックで難解なテーマ設定がされていることからも大量のムービーが必要となることは理解できるのですが、中長期のムービーが定期的に挿入され、その分ゲームを遊んでいる感は薄れていたように感じます。

おそらく実際のところは、作品全体のムービー尺自体は取り立てて指摘するほど長いわけではないものの、細かく分割されて頻繁に挿入されているために、このように「多い」と感じたのでしょう。

なお、一応ほとんどのムービーがスキップ可能です。オススメはしませんが。

 

爆弾探し多め

上述したように、スニーキングミッション以外の様々なミッションが追加されたことは良かったのですが、どういうわけかやたらと爆弾探しミッションに力が入っており、難易度の高さも相まってゲーム後半はひたすら爆弾探しをしていたなという印象を受けました(爆弾の制御装置探し含め)。
いや、もちろん爆弾探しも面白かったですよ!

 

プレイする順序

今作はシリーズものであり、一応今作から遊び始めることも可能ですが、ストーリー中で頻繁に前作のストーリーの内容が登場し、前作を遊んでいなければ理解できない重要な展開もあるため、前作MGS1を先に遊ぶことを強くお勧めします
また、筆者は友人の勧めで3→1→2の順番で遊んだのですが、その順番で遊んで正解だったと思うので、1の前に3を遊ぶことをお勧めします。
さらに言えば、MGS1、2、3全てでMETAL GEAR(MSX、FCなど)の内容が登場し、特に今作ではよりダイレクトにMETAL GEARの内容がゲーム中に現れるため、できればMETAL GEARも遊んでおいた方がいいかもしれません。
HD EditionではMSX版のMETAL GEAR1、2も収録されています。太っ腹ですね!

 

総評

前作のステルス要素はそのままに、よりアクション性を高めてバージョンアップしたゲームであり、前作を楽しめた人であれば今作もきっと気に入るでしょう。
ストーリー展開も、前作を含め過去作を遊んだ人に対するファンサービスが盛りだくさんであり、ファンとしては嬉しい限りです。
MGS1を遊んだことがある方は是非遊んでみてください!

ここまで本記事を読んでいただき、ありがとうございました!

 

トロコンのすすめ

以下では、トロコンを目指す方に向けて、少しだけ参考になる(かもしれない)情報を記載します。

トロコン感想:トライ&エラーで何とかなるのでとんでもなく難しいわけではないものの、あまり楽しくはない。というのも、VR Missionが500以上あるが、全く異なるミッションがそれだけある訳ではなく、数十種のステージが難易度やクリア条件を変えてそれだけ存在するというだけであり、基本的には同じことの繰り返しである。やりごたえのあるパズルのようなゲームを求める方にはオススメできます。

トロコン時間目安:80時間(筆者は80時間位で、他ブログの方も80時間とのことだったのでそれくらいが目安かと。エイムが良い方ならもっと早いかも)

VR Mission:ちょっとコツが要りますが金的パンチを覚えましょう。詰まったら攻略動画を見ること。500以上ミッションをやっている内に嫌でも勝手に「VR訓練主席」は取れるので、スコア関係なしにとりあえずクリアできればOK。意外とごり押しも可能なので、あとは根気。音と麻酔銃と敵の金的を信じましょう。あとスティンガー。

ドッグタグ:最初の内はとにかく攻略動画に沿って集めましょう。この時、攻略動画のやり方をそのまま真似ただけでは出現しない敵等もいるため、その動画のコメント欄を参考にすること(ほぼ英語で書かれてるけど)。ステルススーツを取ってからはほぼ作業ゲーなので、取るまでが勝負です。高難易度のボス戦についてはほぼハメ技で、アイツらだけは慣れるしかないです。なお、ドッグタグは一部取り逃しがあっても大丈夫です(実証済み、他サイトも参照のこと)。

その他:ノーアラートはEASY以下のドッグタグ集めと並行して行うのがおすすめです。見つかったら即リセット。スネークテイルズはとりあえずクリアすればOKなので、一番簡単な方法でクリアしましょう。といってもクリアするだけでも割と難しいです。

あとは、もっと詳しく解説して下さっている攻略サイト・動画をご参照ください。

 

まぁあくまでゲームなのでね、無理するのも精神衛生上良くないですし、トロコンを目指す方はほどほどに頑張ってください!

ここまで本記事を読んでいただき本当にありがとうございました!

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