
見た目はミジンコだが…
FF4のラスボスであるゼロムスは、シリーズの歴代ラスボスの中でもトップクラスの強さであるという意見をよく目にします。
プレイ動画や実況を見ていても大抵ゼロムスを一回で倒すことはできず、レベル上げをしつつ何度か挑んでクリアに至っていることが多い印象です。私も何週か遊んでいるが、今回は2回リトライしてようやく倒すことができました。
ミジンコのようなデザインとは対照に、ゼロムスはゲームのラストにふさわしい強敵としてプレイヤーの前に立ちはだかります。
ゼロムスの強さ
ゼロムスの強さはなんといっても高威力の全体攻撃「ビッグバーン」を高頻度で繰り出してくることにあります。
攻撃の詳細な説明は割愛しますが、過度にレベル上げをせず真っ直ぐ攻略を進めて挑むと、一撃でパーティ全員が戦闘不能又は瀕死になり一気にピンチに陥ってしまいます。
また、他のタイトルでは敵が強力な攻撃をした直後のターンには比較的弱い攻撃になるなど、プレイヤーが攻略しやすいよう加減する設定がされていることが多いのに対し、ゼロムスは即死級の攻撃を容赦なく連発するため、常に緊張感のある戦闘が展開されます。
他にも、バフのリセット技や特定の魔法や召喚攻撃に対して強力なカウンター技を放ってくるため、特に初見プレイ時の攻略は一筋縄ではいきません。
プレイヤーへの忖度や手加減を感じさせない、攻略しがいのある難敵です。
ヒーラーと自由度
ゼロムスの強さの裏返しとして、主人公たちパーティの相対的な弱さもこのラスボス戦の難易度を高めています。
特にFF4ではパーティメンバーの役割が固定されていて、ゼロムスの攻撃に対応できるヒーラーが1人しかいません。そのため、ATBの下で回復か蘇生かといった行動の選択や回復のタイミングについてシビアに考える必要があります。アクティブの場合にはコマンド入力の素早さも要求されます。
ゼロムスの強力な攻撃を受けても簡単に体勢を整えられるわけではないところにゼロムス戦のもう一つの難しさがあるのです。
よくFF4は自由度が低いとして批判されますが、自由度を高めてパーティメンバーの役割や技を自由に編成できるようにすると、パーティに強力な回復手段や蘇生手段を持つメンバーが複数入ることにより立ち回りが安定しすぎてしまう=戦闘が簡単になりすぎてしまうという問題がしばしば生じます。
FF6のケフカや7のセフィロスが強力な攻撃手段を持っているにも関わらず弱いと評価される原因の一つもこれであると思われます。
自由度の低さは一般にプレイヤーのゲーム体験を没個性的にしてしまいますが、その反面、ゲーム側がプレイヤー側の強さを細かく管理できるためゲームバランスを調整しやすく、ボス戦の強敵感や高難易度感を演出しやすくなるという側面があるのでしょう。
FF4におけるラスボス戦は、自由度と引き換えに難易度が高くなっているといえます。
ラスボス戦と難易度
と、ここまでゼロムス戦の難しさについてあれこれ語ってきましたが、実は私としては、このタイプのRPGにおけるラスボス戦の難易度は必ずしも高くなくてもよいのではないかと思っています。
もちろん、あまりにあっけなく倒せてしまうとがっかりするだろうし、難易度が高ければそれだけクリア時の達成感は大きくなるでしょうが、難易度の高さだけがゲームのラストにふさわしい戦闘を演出する方法ではありません。
上記で例に出したFF6と7のラスボス戦も、倒すのが難しかったという印象は受けないものの、戦闘中の壮大なBGMや技のアニメーション、「心無い天使」のようなインパクトのある技などによって、冒険の集大成としてのラスボス戦が見事に演出されていると感じます。
このあたりは人によって感じ方は様々でしょうが、個人的にはゼロムスについても、多少火力が低いなど難易度が抑えられていても十分にラスボス戦としての満足感を得られたのではないかと思うところです。