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大航海時代Ⅳ with パワーアップキット HD Version ーラファエル編 【Switch】

 

今回は、大航海時代Ⅳ with パワーアップキット HD Version ーラファエル編 【Switch】のレビューです。

 

コーエーテクモといえば信長の野望アトリエシリーズが有名ですが、大航海時代も5作品くらい出ている人気シリーズのようです。

基本的にネタバレは避けていますが、ネタバレを含むレビューを本記事の最後に掲載しているので興味のある方のみお読みください。

本記事がこれからこのゲームを遊ぼうか迷っている方の一助となれば幸いです。

 

 

評価(5段階)

ストーリー ☆☆

システム  ☆☆☆☆

作りこみ  ☆☆☆☆

サウンド  ☆☆☆

難易度   ☆

総合    ☆☆☆☆

 

ストーリー

とある商会の御曹司が仲間と共に航海に出て、販路を拡大しつつ各地に散らばる覇者の証を集めるため冒険するというお話です。

ドラクエ等一般的なRPGほどしっかりとしたストーリーがあるわけではないですが、新たな都市を発見していくにつれて新たな仲間が加入したり、仲間同士の関係性が変化していったり、他勢力と交流したりといった具合にストーリーが進行していき、それなりに充実していると感じました。胸キュン要素もあります。

また、このゲームではどの地域から攻略するか、どのように攻略するか等ゲームの進め方についてプレイヤーの自由度が高く、進め方によっては発生しないイベントや加入しない仲間が複数いると思われ、遊び方によってストーリーに若干の変化が出るのも良かったです。

なお、ストーリーの進行はノベル形式で行われます。

 

システム

航海中のゲーム画面

 

冒険

プレイヤーは新しい都市を発見するために自分で船を操縦して各地を探索します。また、このゲームには宝探し要素もあり、与えられた情報(座標)をもとに各地の宝を探すイベントもあります。

船の操縦においては、一般的なRPGのように無制約にフィールド上を移動できるわけではなく、風向きや帆の開き方、航海に必要な物資により移動距離が限られており、移動にも若干のテクニックが必要で面白いです。また、一度訪れた都市間では航路が繋がっている限りで自動移動する機能もあり(ルーラのようなもの)、プレイヤーに配慮されていた点も良かったです。

 

交易

各都市で特産品を買ってそれを他都市に売りに行くという簡単なお仕事です。交易する度にどんどんお金が溜まっていく様が面白く、販売価格や売却価格に変動がある点も良かったです。

交易のシステムがシンプルで遊びやすい点もよかったです

 

他勢力との関わり

ゲーム開始時、各都市の市場はそれぞれ他の商会等の勢力により独占されており、交易ができない状態となっているため、プレイヤーは他勢力と親善を行ったり、悪い噂を流したり、或いは攻撃したりしながら各都市におけるシェアを上げていきます。敵となり得る存在とどのように付き合うかを考え、選択することに楽しみがあり、この他勢力との関わりこそがこのゲームの醍醐味であると筆者は感じました。

ちなみに筆者は見敵必殺の精神で、相手からの停戦の申し入れを幾度となく断り、他勢力を殲滅して海の王となりました。こういったムーブもできます。

 

戦闘

戦闘は船対船で砲撃し合う砲撃戦と、船上で仲間の船員が戦う白兵戦の2種類があります。どちらも船や仲間の強さが戦闘に大きく影響しますが、砲撃戦では風向きや敵艦隊の戦列等を考慮して自ら船を操縦することで戦況を有利にできるシステムであり、白兵戦は自動で戦闘が行われ、運要素もある代わりに、宝探しにより入手した装備が要になるシステムになっています。船の操縦や探索要素のあるこのゲームならではのユニークな戦闘で非常に良かったです。

 

作りこみ

大航海時代というタイトル通り、時代設定は大航海時代であり、ポルトガルとスペインの対立やオスマン帝国の影響力といった世界情勢の他、当時の各都市の雰囲気や特産品がかなり忠実に再現されていました。

また、大都市では条件を満たすとその地域の歴史的建造物を訪れることができ、トンブクトゥのようなややマイナーな世界遺産も出てくることや、歴史上の偉人にまつわる物品が宝として各地に隠されていることから世界史好きにはたまらないゲームになっています。

世界史で聞いたことがある人物に関わる宝が多数登場します

仲間になるキャラや船、特産品や宝の種類も豊富であり、全体的にしっかりと作りこまれています。

ただし、ゲームを進めると追加される要素の類はなく、クリアに必要な鍵(覇者の証)が7つとそれなりに数が多いため、ゲーム全体を通じての抑揚のなさを感じてしまった点は少し残念でした。この「抑揚のなさ」に関連して、ゲーム全体のバランスについて下記「ネタバレを含むレビュー」の項に詳説したので、興味のある方のみお読みください。

その他、大航海時代には都市が存在しなかった、又は発展していなかった北アメリカや南アメリカオーストラリア大陸にはゲーム上も都市が存在せず、又は補給ポイントとしての村が点在する程度であるなど、随所でリアリティを持たせようとしているところにこだわりを感じました。

 

サウンド

地域毎にその地域のイメージに合ったBGMが用意されており(インド洋であればシタールの音色等)、曲調も穏やかなものが多いため、のんびりとゲームを楽しむことができます。

 

難易度

ゲームの進め方にもよりますが、交易を繰り返せばお金が貯まり、仲間のレベルも上がるため、交易を一切行わないなど極端なプレイをしないかぎり特に詰まるところはなく、クリアするだけであれば難易度はかなり低いです。                           

ただし、全イベントやアイテムを回収するためにはおそらく攻略サイトが必須です。

 

総評

筆者は世界史が好きで、このゲームでは世界史で登場する遺跡や物品が数多く登場するためとても楽しく遊ぶことができました。また、無限に交易や探索ができるため、かなりの時間泥棒でした(いい意味で)。

全体的に穏やかな雰囲気の下で交易や宝探しを楽しむことができるため、牧場物語系のゲームが好きな方にオススメです。また、上述のとおり世界史好きにもオススメしたいゲームです。

今回レビューしたラファエル編以外にもそれぞれ異なる主人公の6つのストーリーが用意されており、ゲーム全体としてボリュームがあり、値段の割にお得な点も嬉しいところです。

気になった方は是非遊んでみてください!

ここまで本記事を読んでいただきましてありがとうございました!!

 

以下、ネタバレを含むレビューです。興味のある方のみお読みください(未プレイの方は閲覧非推奨です)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレを含むレビュー

ゲーム全体のバランスについて

恐らくゲームの進め方によるのでしょうが、筆者の場合、中盤(4地方制圧したあたり)には既に所持金がカンストしており、キャラの強さについても他勢力との戦闘でほとんど負けることがないほど育ってしまっていたため、中盤以降交易をする必要がなくなり緊張感もなく淡々と他勢力を解散させ各都市のシェアを100%にしていく作業ゲーと化してしまっていた点が残念でした。

一般的なRPGであれば後半になるにしたがって徐々に敵が強くなっていき、ラストに強大なボスが待っているという構造になっているものが多いですが、このゲームではフリーシナリオであるためか各地の敵の強さがほぼ均一であり、後半になるにしたがって相対的に敵が弱くなっていくという構造になっているのだろうと思います。ゲーム全体の難易度についても、上述のとおり追加要素がなく、相対的に下がっていく一方となっています。また、所持金についても、一般的なRPGであれば後半になるにしたがって敵を倒すことで得られる収益が増える一方で、高額な装備やアイテムを購入するために支出も増え、ゲーム全体を通じて極端に所持金が余る場面があまりないように調整されていることが多いのに対して、このゲームでは中盤以降地方艦隊により定期的に多額の収益を得られる上に、支出先は主に投資や船の購入、水夫を集めることに限られており、その額も比較的軽微であるため所持金が簡単にカンストするようになっています。

もちろん、「RPGではしっかりレベル上げをして余裕をもってボスに勝ちたい」というタイプの人にとっては、このゲームの設計はそのニーズに応えているところがあると考えられるため、こうした設計には賛否両論あろうかと思われます。筆者は、「常にギリギリの戦いを楽しみたい」というタイプであり、例えば同じくフリーシナリオであるロマサガのように戦闘回数により敵が強くなっていくシステムや覇者の証を発見する度に支出が増加し敵レベルも増加していくようなシステムがあればより面白かったのではないかと思いました。

 

ペンサコラについて

このゲームでは特殊イベントとして、ペンサコラという村の発展を通じて主人公とある女の子が交流を深めていくというイベントが用意されているのですが、筆者はとうもろこしを運ぶイベント以降イベントが進まなくなり、ほとんど進展がないままエンドロール(主人公とその女の子が仲良さそうにしているシーンが複数ある)を迎えてしまったため、若干心残りのある終わりとなってしまいました。

これに関してはゲームの問題というよりは筆者の進め方に問題があったように思われます。

本記事を書くにあたり攻略サイトを参照したところ、どうやら東南アジアでのポルトガル併合イベントが次のペンサコライベント発生の条件となっていたらしいのですが、筆者はこのポルトガル併合イベントが発生しなかったため、ペンサコライベントも進展しなかったのだろうと思います。おそらく、筆者は早い段階で(少なくとも東南アジアに到達する前に)バルデス軍(スペイン)もアルブルケ軍(ポルトガル)も滅ぼしていたため、ポルトガルとスペインのいざこざがとりあえず解消されたことが原因で併合イベントが発生しなかったものと思われます(或いはパシャ軍やハイレディン一家等も滅ぼしており地中海を完全に制圧していたことが原因かもしれません)。

主人公にとっては比較的重要なイベントであるため、少なくとも取り返しのつかない要素のような設計にしなくてもよかったのではと思わなくもないですが、この点に関してはゲームの仕様上しょうがないのでしょう。

本記事を読んでいる方で、これからこのゲームを遊ぶ方はくれぐれもご注意下さい。

 

ここまで本記事を読んでいただきありがとうございました!