少し遅くなりましたが、皆さまあけましておめでとうございます!
2024年は昨年以上にいろいろなゲームを楽しみ、その魅力を発信して参りますので、今年も当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
新年1本目は、弟切草(SFC)のレビューです(昨年12月に遊びました)。
トゥルーエンド構成やサウンドノベルの祖ともいえる作品で、普段アクションやRPGしか遊ばないというレトロゲーマーの皆さんにこそオススメしたいゲームです。
評価(5段階)
ストーリー ☆☆
システム ☆☆☆
作りこみ ☆☆☆
サウンド ☆
難易度 ☆☆☆(全エンディング回収)
総合 ☆☆☆
良かった点
シナリオ設計の特殊性
選んだ選択肢によってその後の展開、すなわち主人公たちの未来が変わることはノベルゲームでは定番ですが、このゲームでは選択により分岐したルートによって物語の基礎となる設定それ自体がそのルート独自のものとして確定していきます。
つまり、プレイヤーの選択によって過去の事実が変わる(決まる)ということです。
例えば、選択肢Aを選んで入ったAルートではヒロインの母親という設定であった人物が、選択肢BによるBルートでは姉という設定になっていたり、そもそも弟がいたりいなかったり、人じゃなくなっていたりします。
ルートによって設定や前提事実がガラリと変わるため、それぞれのエンディングが全く違った内容になる点が近年のノベルゲームを基準にしても珍しく、面白いと感じました。
なお、選択した肢によって遡及的に過去が決定されることの奇妙さと選択肢の在り方について、xcloche様が下記記事にて詳細に分析されており大変勉強になります。
この点については後日私見をまとめて記事にしたいと考えています。
また、周回してエンディングの回収を進めると新たな選択肢とエンディングが追加されるようになっており、全てのエンディングを回収しないと見ることができないトゥルーエンドも用意されています。
このようなトゥルーエンド構成も当時の家庭用ゲーム機のノベルゲームとしては珍しかったようです。
(まぁピンクというか、お下品というか…というのが正直な感想でした)
シナリオの内容についても、おふざけ展開が多めでホラーとしての怖さは弱いものの、どのルートもミステリーとして話が面白く満足できました。
やや突飛な展開や前の展開と整合しない文脈もありましたが、まぁご愛嬌。
気になった点
選択肢でセーブができない
これがなかなか致命的で、一般的なノベルゲームであればエンディング分岐に関わる選択肢の画面でセーブデータを作成でき、1つのエンディング回収後にロードして異なる選択肢を選択することで複数のエンディングを効率よく回収することができる仕様になっています。
他方、このゲームでは画面1ページごとにオートセーブがされるため、そのようなセーブ&ロードはできないようになっています。つまり、1つのエンディングを回収するためにはゲームを「はじめから」プレイしなければなりません。
高速で文字送りをしても1周あたり1時間程度はかかるため、エンディング回収にはそれなりの根気が必要です。
総評
パッケージやタイトル画面からはホラーゲームを連想させますが、このゲームでは(ほぼ)文章と効果音のみでホラーを演出するため、今どきの良質なホラー作品に慣れてしまった我々令和のゲーマーにとってはあまり怖さを感じない作品となっています。
ミステリーとしても純粋に面白いものの、特筆すべき展開はないのかなと。
あくまで、トゥルーエンド構成やサウンドノベルというジャンルを築いたゲームとして、その原点であることを感じることができるゲームとして再評価すべきでしょう。
ここまで本記事を読んでいただきありがとうございました。
気になった方は是非遊んでみてください!
(本記事で引用した画像の著作権は全てチュンソフトに帰属します。)